わたしがブログを書く理由

 浴び続ける情報量と体験のなかに日々生きていると、眠っている間にみる夢だけでは、それらを処理出来ない。知覚は立ち上っては消えていくし、こんなにも違う1人ひとりの人間が、よくもまあ一応の秩序に治まりながら生きている。わたしは人間の不思議さに好奇心を持っている。以前は文章を書く仲間達との雑談や、書いたものを読み合うこともしていたが、ある時から、馴れ合いに危機を感じた。ものを考えるくせに、やや軽はずみなアクションを起こすせいで失敗も多く、瞬時に反省するが切り替えも速い。

 わたしがブログを書く理由は、スピード感が恐いからだ。
海のなかを群れで回遊する魚たちは、集団による感覚に優れてはいる。ずっと以前、海に潜り海中世界を観覧していたときのこと。アジ玉に向かって突っ込んでいく一匹のバラクーダを眼前に驚いたことがあった。群れの方向感覚はベストプラクティスとも言いきれない。
スピード感の恐さは、ツイッターをやらなかった理由でもあるかもしれない。ある速度感をもって流れていくのを見るのは好きだし、他者のブレスに近い文字列は、まとまった長い文章を読むときよりも、その儚さに触れられるのがいい。ツイッターはブログの文章を読むよりも、むずかしい。パズルのかけらを投げられるものだから、絵の全容がより捉えにくい。
「書くのは好きなんだけど、知らない人達に読んでもらう自信がないな」
はてなブログを始める前、友人に相談をした。友人はすぐにいくつかのブログサイトを教えてくれた。しばらくは、他のユーザーさんが書いている文章をただ読むだけだった。
コミュニティにいた頃は、書け、書けとお尻を叩かれては、厳しいことを言われ続け、続けるうちに書く楽しさよりも要求に応えきれない自分を責めるようになって疲れ果てていた。
「書くの、もうやめようかなと思ったりもする」
「気楽な気持ちで書いてみたら?、やめるのも自由だし」という友人の言葉に、それもそうだと思って、ウェブの上をお散歩するくらいの気持ちで書いてみることにした。マイペースではあるけれど、案外続いている。